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「MSGM」のデザイナー、マッシモ・ジョルジェッティの山荘へ

選りすぐりの家具とアートが並ぶ、人気クリエイターの隠れ家へようこそ

valle d'aosta, italy, home, interior
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ファッションブランド「MSGM」を率いるマッシモ・ジョルジェッティ。彼が大自然の中に身を置くために訪れるのはモンブラン山麓の家だ。カラマツ材を張り巡らせたインテリアを背景に、選りすぐりの家具とアートが並ぶ。『エル・デコ』2023年4月号より。

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“頂”と名づけた山荘で自然を満喫する特別な週末
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「これから天気が悪くなりそうだ。今週の撮影は延期したほうがいいかもしれないね」

こんなテキストメッセージが「MSGM」のデザイナー、マッシモ・ジョルジェッティから送られてきたのは、撮影数日前のこと。不安がよぎったが、最後にこんな言葉が添えられていたのが救いだった。「山の天気はわからないものだけれどね」

幸運なことに予報は外れ、私たちはジョルジェッティに会うことができた。向かった先は、イタリア北部ヴァッレ・ダオスタ州ヴェッランドとクールマイユールの境界付近。彼は、拠点を置くミラノから車で2時間ほどのこの土地に別荘を持っているのだ

写真 造園家クリスチャン・ブルーノが設計した庭を「MSGM」のスウェットを着て散策するジョルジェッティ。ファサードの窓には、モンブランのシルエットが映し出されている。右手前はドゥッチョ・マリア・ガンビによるクロムメッキのスチール箔を施したモノリスの彫刻。

山々が連なる風景に溶け込む、大きなスレート屋根
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外から眺めると、その家は木々の陰に隠れていた。屋根には地域特有の石が使われている。

「家の名前は『レ・ヴェッテ(頂)』だ。ここから見る山々があまりにも美しくて、この名がひらめいたんだ」

モンブランを望む絶景を前に、ジョルジェッティは話す。この辺りには以前からよく来ていた彼が、建設途中だったこの家を見つけたのは最近のことだという。

写真 起業家のマルコ・ブサネッリと建築家ファブリツィオ・ガンドルフォが企画した家を、ジョルジェッティが購入。認証を受けた木材や、環境に配慮した暖房システムを採用するなどサステナブルな姿勢が気に入ったのだという。地産の石材を用いたスレート屋根が印象に残る。

モダンアートのように大自然を楽しむリビング
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「工事が始まったばかりの状態だったから、設計に関して意見を取り入れてもらうことができた。最初は、この地域を象徴するふたつの素材である木と石を強調することだけを考えていた。大自然の一部とも言うべき場所にデザイン的な要素は似つかわしくない気がして、あえて避けていたんだ。ただ、進めていくうちにそうした“ブルタリスト”的な表現より、居心地のよさを求める自分に気づいた。予想外だったよ」

写真 家具は友人たちと集うことを前提にジョルジェッティが選んだ。「モルテーニ」のソファ“アルバート”とベサン・ローラ・ウッドによる「cc-tapis」のラグが存在感を放つ。ソファ脇のスタンドライトは「ルイスポールセン」の“AJ”。 右手の棚にはデスクランプの名作“スヌーピー”が見える。

屋根の傾きを味方にした、親密なカスタムキッチン
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彼に招かれ、エントランスから室内に足を踏み入れると、2フロア分の高さを誇るオープンエリアが広がっていた。暖炉を囲むようにリビングとダイニング、それからカスタムメイドのキッチンがレイアウトされている。彼が言う“ブルタリスト的素材”はインテリアを構成しているものの、主張しすぎることなく、名作家具を引き立てている。

写真 カラマツ材に、近隣地域で採掘されたピエトラ・ディ・クルティルという石を素材にカスタマイズされたキッチンシンクとカウンター。ワークトップに置かれた2点の絵画作品は、ともにイタリア人アーティストのアニェーゼ・グイドによる作品。スポット照明はベガのアイテム。

リズミカルな木肌が家具とアートを引き立てる
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「ここには、スタッフたちもよく訪れるから、大きなソファが必要だった。ラグは、ベサン・ローラ・ウッドによるもの。大好きなエーロ・サーリネンの“ウームチェア”もね。アートも慎重に選んだよ。多彩な背景を持つアーティストによる作品が多いかな」と言って微笑む。

写真 フォレストグリーンのアームチェアは、エーロ・サーリネンが手がけた“ウームチェア”。暖炉はこの地域で採掘された石材を使って製作された。暖炉の脇に並べられた彫刻作品は、フィレンツェを拠点にするアーティストでデザイナーのドゥッチョ・マリア・ガンビによるもの。

洞穴のような廊下の先に現れるモダンで明るいベッドルーム
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認証を受けたカラマツを使ったという室内には、心地いい木の香りが漂っている。ファッション界に身を置く彼は、サステナビリティに対して非常に意識的だ。

「人間が無意識のうちに自然に与えてしまう影響の大きさを、決して軽く見てはいけない」とジョルジェッティ。目まぐるしいミラノでの生活が再び始まったとしても、眼前にそびえたつ山々の姿はその瞳の奥で輝き続けるのだろう。

写真 リビング・ダイニングエリアの下階には、マスターベッドルームとゲストルームが入る。ベッドはジョルジェッティ自身がデザインした。ヘッドボード用の生地には、この地域で製造されたフェルト地を採用。シーツは「ソサエティ・リモンタ」のアイテムをセレクトした。


photos : ALBERTO STRADA realization : FILIPPO ROMEO, FRANCESCA BENEDETTO text : CHISATO YAMASHITA

『エル・デコ』2023年4月号
elle decor, japan, 2023, april
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