5月5日(金)公開 『ウィ、シェフ!』
料理の腕は確かなのに人付き合いが苦手で一流レストランを辞めたシェフ。彼女の新たな仕事は移民の少年たちが暮らす施設での賄い。施設側は缶を温めて出す食事だけで十分というが、彼女は時間と手間をかけ、本物の食事を用意しようと奮闘。そんな彼女の姿に少年たちも興味津々、次第に料理に興味を抱くようになる。『最強のふたり』のフランソワ・クリュゼが施設の責任者として出演する本作は、新たな最強タッグとの出会いに胸高まるヒューマンコメディー。未成年の移民たちに資格を取得させようと手助けする主人公には実在のモデルがおり、少年たちを演じているのはオーディションで選ばれた実際に移民の男の子たち。ドラマティックで痛快な内容ながら、現代フランスが抱える社会問題が見えてくる。監督はホームレス女性のための受け入れセンターの日常を描いた『社会の片隅で』がフランスで130万人を超える動員を記録したルイ=ジュリアン・プティ。
監督・脚本/ルイ=ジュリアン・プティ
キャスト/オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ、シャンタル・ヌーヴィル、 ファトゥ・キャバ、 ヤニック・カロンボ、アマドゥ・バー、ママドゥ・コイタ、アルファ・バリー、ヤダフ・アウェル、ブバカール・バルデほか
5月5日(金)公開 『それでも私は生きていく』
ミア・ハンセン=ラブ監督の8作目は病気の父親と向き合った監督自身の経験がもとになっているヒューマンドラマ。次第に自分の知る人格ではなくなっていく父の姿を目の当たりにする悲しみと新しい恋に溺れていく喜び。同時に両極の感情に揺れ動くヒロイン、サンドラをレア・セドゥが演じている。サンドラは通訳の仕事に就きながら8歳の娘を育てるシングルマザー。仕事の合間を縫い、家族と共に病気の父の世話にも奮闘する。そんな折、旧友のクレマンと再会し、恋に落ちる。仕事に子育てに介護。おしゃれする余裕もないサンドラは全編、ショートカットですっぴん。それでいて抑えきれない色気が漂うのがレア・セドゥならでは。監督は彼女をイメージして、サンドラを描いたそう。恋人役のメルヴィル・プポーとの相性も抜群。カンヌ国際映画祭ではヨーロッパ・シネマ・レーベル受賞。
監督・脚本/ミア・ハンセン=ラヴ
キャスト/アレア・セドゥ、パスカル・グレゴリー、 メルヴィル・プポー、 ニコール・ガルシア、 カミーユ・ルバン・マルタンほか
5月12日(金)公開 『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』
ジェームズ・グレイ監督が80年代ニューヨークを舞台に幼少期の自分の記憶、経験を投影したという自伝的作品。ユダヤ系アメリカ人の中流家庭の少年ポールは公立学校に通っている。クラスの問題児である黒人のジョニーと親友になるが、二人は問題を起こし、ポールは兄が通う規律の厳しい私立学校に転校させられてしまう。一方、親のいないジョニーは施設に入れられることに。ポールに大きな影響を与える祖父にアンソニー・ホプキンス。その娘でお嬢さん育ちの母親にアン・ハサウェイ。さらにマリアン・トランプ役でジェシカ・チャステインがカメオ出演するなど豪華キャスト。差別されたから差別しない高潔な祖父。対照的に差別を受けたからこそ子供のために保身に走る父親。子供の目に映る大人の姿が実にアイロニック。
製作・監督・脚本/ジェームズ・グレイ
キャスト/アン・ハサウェイ、ジェレミー・ストロング、 バンクス・レペタ、ジェイリン・ウェッブ、 アンソニー・ホプキンスほか
5月19日(金)公開 『ソフト/クワイエット』
92分、全編ワンショット、リアルタイムで展開する体感型クライム・スリラー。幼稚園教師のエミリーはリアルバービーのような白人女性。日頃から自分のような白人女性は逆差別を受けていると感じている彼女は「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義のグループを結成。有色人種や移民を毛嫌いする6人が集う。盛り上がった彼女たちはエミリーの自宅で二次会を行おうとするが、途中で出会ったアジア系姉妹と激しく口論。彼らと因縁のあるエミリーは仲間と彼女たちの家を荒らすことを計画する。いまだに収まらない東アジア人ヘイトと根強い人気のトランプ政権。終始見え隠れするアメリカの闇に触れ、恐怖で目が逸らせないノンストップの92分。製作総指揮は『ゲット・アウト』(17)『ブラック・クランズマン』(18)でそれぞれアカデミー脚本賞とアカデミー脚色賞を受賞したブラムハウス・プロダクション。
監督・脚本/ベス・デ・アラウージョ
キャスト/ステファニー・エステス、オリヴィア・ルッカルディ、ダナ・ミリキャン、メリッサ・パウロ、エレノア・ピエンタ、シシー・リー、ジョン・ビーヴァーズ、ジェイデン・リーヴィット、シャノン・マホニー、レべカ・ウィギンス、ニーナ・ジョーダン、ヨウィータ・モリーナほか